ヘルメス主義

神秘主義とは、絶対者(神、最高実在、宇宙の究極的根拠などとされる存在)を、その絶対性のままに人間が自己の内面で直接に体験しようとする立場のことである。

概要

英語: mysticism などが「神秘主義」と訳されている。この mysticism の語源をたどると ギリシア語: myein(眼や口を閉じる)に由来するとされており、こうした表現が選ばれたことにより、すでに通常の表現が許されない経験が示唆されている。

神秘主義の根本的な特質は、umio mystica (ウミオ・ミスティカ、神秘的合一)と呼ばれる、絶対者と自己との合一体験に ある。行うことが人間を超えた絶対者との合一であり、通常の自己からすれば絶対的に他なる者との合一であるから、それは必然的に自己からの脱却、あるいは 自己という枠を突破することを意味する。つまり絶対者との合一は、脱自を行うということになり、神秘家というのは、いわゆる脱我(=エクスタシー)を体験 している者である。その体験において、我々が普段“自己”と信じているものは、絶対者の前に吸収されつくして無になり、同時に絶対者は対象ではなくなり、 それが真の自己の根拠になる。このような、“自己”の徹底的な死と復活と言える脱我的合一が神秘体験の宗教的な核心となっているのである。

神秘的合一

神秘主義における神秘的合一は、あくまで自己自身の内面を通して体験される、自己の最内奥におけるできごとである。だからこそ、神秘主義では《》や《》が強調されるのである。(その点で、神秘主義というのは絶対者が世界にあるとする汎神論からは区別される。)

自己の最内奥において、“自己”が破られる体験であり、そこにおいて無限の深さが開かれることである。魂の内奥が“自己”という枠を超えて神の秘奥であるような内面性を体験するのである。

合一体験はその最初期においては絶対的受動性とともにある。自己が破られるという体験だからである。自己からは突破できない自我性の最後の壁が彼方から破られる。だが次に、それまで“自己”という枠によってふさがれてしまっていた《生の無限の泉》から新しい生命が湧き出てきて、それが自分の生命となる。逆説的なことに、絶対的受動性を経ることによって生の活発な高揚や無限感が与えられるのである。

こうした合一体験は、(日常的な感覚、当人以外の第三者が外面的・表層的に見ると)短い時間起きたように見え、長期間続いているようには見えない。だが、それを体験した主体としては、自己理解や世界理解が根本的に入れ替わるほどに決定的なことが起きている。

歴史

西洋で神秘主義の筆頭に挙げられるのが、古代ギリシャのエレウシスの秘儀である。類似のものとしてはオルペウス教、ピタゴラス教団などがある。やや時代を下り、ネオプラトニズム(新プラトン主義、キリスト教神秘主義、更にはヘルメス思想なども、代表的な神秘主義である。

ユダヤ教の代表的な神秘主義としてはカバラが、イスラーム圏の代表的な神秘主義としてはスーフィズムがある。

インドにおいては、バラモン教のウパニシャッドにおけるアートマン思想などが、典型的な神秘主義であり、ここから派生したヒンドゥー教や、仏教における密教なども含む、いわゆるタントラ教全般も、その典型である。なお、こうしたインドの神秘主義は、20世紀後半のニューエイジムーブメントに多大な影響を与えている。

中国では道教の神仙思想、日本では密教及び修験道などが、代表的な神秘主義である。

修験道

修験道(しゅげんどう)は、山へ籠もって厳しい修行を行うことにより、悟りを得ることを目的とする日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられた日本独特の混淆宗教である。修験宗ともいう。修験道の実践者を修験者または山伏という。

やまぶし1

古神道は、森羅万象に命や神霊が宿るとして、神奈備(かむなび)や磐座(いわくら)を信仰の対象としたが、それらを包括する山岳信仰と仏教が習合し、さらには密教などの要素も加味されて確立した日本独特の宗教が、修験道である。

修験道は、平安時代のころから盛んに信仰されるようになった。その信仰の源は、すでに8世紀からみられた、仏教伝来以前からの日本土着の神々への信仰(古神道)と、仏教の信仰とを融合させる「神仏習合」の動きの中に求められる。神仏習合は徐々に広まり、神社の境内に神宮寺が、寺院の境内に「鎮守」としての守護神の社が、それぞれ建てられ、神職、あるいは僧職が神前で読経を行うなどした。そして、それらの神仏習合の動きと、仏教の一派である密教(天台宗・真言宗)で行われていた山中での修行と、さらに日本古来の山岳信仰とが結びついて、修験道という独自の信仰が成立していった。このように、修験道は、密教との関わりが深かったため、仏教の一派とされることもある。

密教

密教(みっきょう)とは「秘密の教え」を意味する。一般的には、大乗仏教の中の秘密教を指し、「秘密仏教」の略称とも言われる。中国語圏では一般に「密宗」(ミイゾン)という。

概説

一般の大乗仏教(顕教)が民衆に向かって広く教義を言葉や文字で説くのに対して、密教は極めて神秘主義的・象徴主義的な教義を教団内部の師資相承によって伝持する。この点に密教の特徴がある。 また別の面からは、密教とは言語では表現できない「仏の覚り」それ自体を伝えるものであり、「仏の覚り」とその方法が凡夫の理解を超えているという点で「秘密の教え」であるということが密教の密教たる所以だともいう。これらとは異なり、密教の「密」とは「顕」に対する「密」ではなく、ソグド語で「日、太陽」(七曜の内の日曜)を意味する言葉である「ミール」 (Mir) を漢字で「密、蜜」と音訳したものとする説もある。

本 来、密教は文字によらない教えであり、先に述べたように顕教では経典類の文字によって全ての信者に教えが開かれているのに対し密教は、空海の詩文集『性霊 集』で「それ曼荼羅の深法、諸仏の秘印は、談説に時あり、流伝は機にとどまる。恵果大師が、伝授の方法を説きたまえり。末葉に、伝うる者敢えて三昧耶戒に 違反してはならないと。与奪は我(空海)が意志に非ず、密教の教えを得るか否かはきみの情(こころ)にかかれり。ただ、手を握りて印を結んで、誓いを立てて契約し、口に伝えて、心に授けるのみ。」と述べているように、「阿字観」等に代表される不生の三昧(瞑想)を重んじ、曼荼羅や法具類、灌頂の儀式を伴う「印信」や「三昧耶形」等の象徴的な教えを旨とし、それを授かった者以外には示してはならないとされた。これは、灌頂が儀式の中で段階的に、行いを重視する「小乗戒」と、心のあり方を重視する「大乗戒」と、中期密教に始まる、象徴を理解するための基礎の「三昧耶戒」と、それに加えて無上瑜伽タントラでは、後期密教における仏智を軸とする発展的な三昧耶戒である「無上瑜伽戒」を与え、心身における全的覚醒を促し、密教に必要な諸々の戒律を参加者に与えることにより、その対象を限定した上で、「秘密とされる灌頂の授者を生きたまま(即身)諸仏の曼荼羅に生じせしめる」からである。

それゆえ弘法大師空海は、密教が顕教と異なる点を『弁顕密二教論』の中で「密教の三原則」として以下のように挙げている。

法身説法(法身は、自ら説法している。)
果分可説(仏道の結果である覚りは、説くことができる。
即身成仏(この身このままで、仏となることができる。)

いわゆるそれまでの小乗仏教(声聞・縁覚)が成仏を否定して阿羅漢の果を説き、さらには大乗仏教が女人成仏を否定し、無限の時間(三阿僧祇劫)を費やすことによる成仏を説くのに対して、密教は老若男女を問わず今世(この世)における成仏である「即身成仏」を説いたことによって、画期的な仏教の教えとして当時は驚きをもって迎え入れられた。この点での中期密教と後期密教との差異はというと、中期密教は出家成仏を建前とするのに対して、後期密教は仏智を得ることができれば出家や在家に関係なく成仏するとしている点である。

密 教においては、師が弟子に対して教義を完全に相承したことを証する儀式を伝法灌頂といい、その教えが余すところなく伝えられたことを称して「瀉瓶(しゃ びょう)の如し」といい、受者である弟子に対して阿闍梨(教師)の称号と資格を与えるものである。いわゆるインド密教を継承したチベット密教がかつて一般 に「ラマ教」と称されたのは、チベット密教では師資相承における個別の伝承である血脈を特に重んじ、自身の「根本ラマ」(師僧)に対して献身的に帰依する という特徴を捉えたものである。

日本の密教の宗派

日本の伝統的な宗派としては、空海が唐の青龍寺恵果に受法して請来し、真言密教として体系付けた真言宗(即身成仏と鎮護国家を二大テーゼとしている)と、最澄によって創始され、円仁、円珍、安然らによって完成された日本天台宗の 継承する密教が日本密教に分類される。真言宗が密教専修であるのに対し、天台宗は天台・密教・戒律・禅の四宗相承である点が異なっている。真言宗の密教は 東密と呼ばれ、日本天台宗の密教は台密とも呼ばれる。東密とは「東寺(教王護国寺)の密教」、台密は「天台宗の密教」の意味である。この体系的に請来され て完成された東密、台密を純密(じゅんみつ)というのに対し、純密以前に断片的に請来され信仰された飛鳥時代の聖徳太子の遺品等や奈良時代に見る密教を雑 密(ぞうみつ)、東大寺の大仏開眼と戒壇建立に前後する、鑑真和上から入唐八家による請来までを古密教(こみっきょう)という。

日本の密教は霊山を神聖視する在来の山岳信仰とも結びつき、修験道など後の「神仏習合」の主体ともなった。各地の寺院・権現に伝わる山岳曼荼羅には両方の要素や浄土信仰の影響が認められる。

道教

2陰陽

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